半導体製造装置メーカー、半導体製造のプロセスラインに、数多くの専用高機能ホースを納入してきた株式会社アルティベイトが提案する「これからのデータセンターの液冷に求められる冷却ホースで想定される最適な仕様と選択肢とは?」
昨今のAI・生成AIの普及に伴い、高性能GPUを搭載したサーバーの導入が急速に進んでいます。GPUやCPUの高性能化・高密度化に伴ってサーバーから発生する熱も増加しており、従来の空冷方式だけでは十分な冷却が難しいケースも増えています。
そこで注目されているのが、水やクーラントなどの液体を利用してサーバーの熱を効率的に排出する「液冷システム」です。 液冷システムでは、CDU(Cooling Distribution Unit)やポンプ、ラック、コールドプレートなどの機器間で冷却液を循環させる必要があり、各機器を接続するホースも重要な構成部品となります。
液冷システム自体も、近年の処理能力向上に伴い、市場ニーズから昨今採用が多く検討されているシステムということもあり、各機器類を接続するホース仕様も、今後様々なニーズに応じて変化していくことが予想されます。
そこで本記事では、データセンターの液冷システムで求められる最適なホースについて、主に導入コストの観点から採用に比較検討される「ゴムホース(EPDM)」と、耐久性や耐薬品性などマルチユースが可能で流体管理レベルの高いプラントや生産設備に多く利用される接液部にフッ素樹脂を採用した「PTFEホース」の違いを中心にわかりやすく解説します。

データセンターで液冷が注目される理由
データセンターでは、AI・生成AIなどの高負荷処理に対応するため、高性能GPUを多数搭載したサーバーが使用されるようになっています。
GPUの処理能力が向上する一方で発生する熱も増加するため、サーバーを安定して稼働させるためには、より高い冷却能力が必要となります。
従来の空冷方式ではファンによって空気を循環させて熱を排出しますが、サーバーの高密度化が進むと空気だけでは十分な熱を処理することが難しくなります。
そこで、空気よりも熱を効率的に移動させることができる水やクーラントを利用した「液冷方式」が注目されています。
代表的な方式としては、以下のようなものがあります。
_冷却水をラック周辺で循環させる方式
_CDU(Cooling Distribution Unit)を介して冷却液を循環させる方式
_リアドア型の液冷方式
_CPU・GPUのコールドプレートへ直接冷却液を流すDirect Liquid Cooling(DLC)
いずれの方式でも、冷却液を安定して循環させるための配管・継手・ホースが必要になります。
液冷システムのホースに求められる4つの性能
液冷システムに使用されるホースには、単に「液体を流すことができる」というだけではなく、過酷な運用環境、止まること・漏らすことの許されない運用管理や処理性能に合わせたクーラントシステムの仕様変更などに追従できる様々な性能が求められます。また、地震国でもある日本は、BCP対策としての配管の耐震性も考慮する必要があります。
柔軟性: ラックや冷却装置など、限られたスペースで配管の取り回しを行い、芯ずれや施工上の制約に対応できる柔軟性。
耐圧性: ポンプによる循環圧力や、起動・停止時に発生する圧力変動に十分耐えられる強度。
冷却液・冷媒との適合性: 水だけでなく、水・グリコール系のクーラントなど、使用する流体に対して化学的な劣化を起こさない、または起こしにくい適合性。
長期的な安定性: 24時間365日連続運転される環境において、長期間使用しても機械的強度の劣化や冷却液の不純物溶出、冷却効率の悪化などシステム全体へ悪影響が出ない素材の機械的・科学的安定性。
ゴムホース(EPDM)のメリット
現在、液冷システムではEPDMなどの主にゴム系ホースが検討されるケースが多くみられます。
ゴムホースには、主に以下のようなメリットがあります。
高い柔軟性: 複雑な配管レイアウトや狭いスペースでも取り回しがしやすい
優れた振動吸収性: ポンプや機器から発生する振動を吸収し、配管への負荷を軽減する
コストパフォーマンス: 材質や構造により高機能樹脂ホースと比較的して低コストで導入でき、加工性にも優れている
特に、水・グリコール系の冷却液を使用するシステムでは、EPDMは有力な材料の一つです。
確かにゴムには「加水分解」や「硬化劣化」、「温度変化による変形」など素材自体が抱える避けられない課題があり、長時間の運用では不安な点があるのは事実ですが「ゴムホースだから液冷には向かない」ということではありません。使用条件に適したゴム材料を選定すれば、液冷システムにおいて十分に使用できるケースがあります。
一方で、現時点でサーバーセンターにも様々な種別があると想定されます。例えば、政府機関や防衛システム関連、大手企業の基幹システムなどに利用されるものが該当しますが、それらの運用環境では冒頭にも記載した「止められない・漏らすことのできない使命」が潜在的に存在しており、それらのサーバーセンターこそ安定した冷却や運用が求められることになります。また今後さらに高性能な液冷システムが普及する事を想定すると、ホースに求められる性能も変化していく可能性があります。
ゴムホース(EPDM)とフッ素樹脂ホース(PTFE)の違いと比較
ゴムホースとPTFEホースの大きな違いの一つが、「冷却液と直接接触する材料(接液部)の特性」です
ゴムは配合剤などを組み合わせと加硫結合による熱硬化を利用して製造されるため、長期間の使用に伴い成分が冷却液へ移行する「抽出・溶出」が発生したり、硬化・膨潤などの経時変化を起こす可能性があります。
一方でフッ素樹脂(PTFE)は非常に優れた耐薬品性を持ち、成分の溶出が極めて少ないため、冷却液の品質維持や長期的な材料安定性を重視する場合に最適です。
そのため、フッ素樹脂ホースは、半導体製造や医薬品の製造プロセスにて非常に多くの仕様実績があります。逆に言うと、不純物の溶出が許されないプロセスではゴム系のホースの使用実績はほとんどありません。
| 比較項目 | ゴムホース | PTFEホース |
| 柔軟性 | 〇~◎ | 〇~◎ |
| 施工性 | 〇~◎ | 〇~◎ |
| コスト | 〇~◎ | △~〇 |
| 耐薬品性 | △ | ◎ |
| 長期的な材料安定性 | △ | ◎ |
| 冷却液への影響 | △ | ◎ |
| 高純度用途への適正 | △ | 〇~◎ |
| 耐熱性 | △ | ◎ |
ホースは「冷却できればいい」から「安定した冷却管理」に変わる?
特にDirect Liquid Cooling(DLC)のように、冷却液をCPUやGPUの至近距離まで循環させるシステムでは、流体自体の品質を維持することが不可欠です。冷却液中に不要な成分や微粒子が発生すると、流路の目詰まりを引き起こすリスクがあるためです。
そのため、これからのホース選定は
「冷却液を流せるホース」から「冷却液の品質を維持できるホース」へ
選定基準が変わっていく可能性が十分に想定されます。それは、システムが求める熱効率が処理性能に合わせて今後も飛躍的に改良されていくためです。
PTFEホースを検討すべき用途・環境
- より高い耐薬品性、耐温度性、可変追従性が必要な場合
- 冷却液への材料の影響(溶出物など)を抑えたい場合
- 長期的な材料安定性や高い清浄度を重視する場合
- データセンターそのものが要求する稼働停止リスクを限りなく低減したい場合
PTFE製フレキシブルホース「RH27」の特長

液冷システムの稼働安定性・信頼性の飛躍的向上に応える選択肢の一つが、アルティベイトの「RH27」です。
RH27は、接液部にPTFEを採用したコルゲーション(波付け)構造のホースで、外側をSUS硬線ブレードで補強しています。PTFEの優れた耐薬品性と、フレキシブルホースとしての柔軟性・耐圧性を兼ね備えていることが特長です。
そして、RH27がすでに大手半導体の製造装置メーカーの循環冷却ラインで多数の実績があることが何よりもの裏付けとなります。そもそも、RH27の開発のベースとなる規格基準は、船舶市場にあります。船舶での仕様・規格は極めて厳しい耐久試験が課されており、一度出港すると寄港するまで修理やメンテナンスができないという「求められる耐久性」が他のホースに比べて桁違いに高いことが背景にあります。
船舶において、RH27が利用されるシチュエーションは以下です。
- 船舶エンジンルーム
- 油圧・空圧・ガス系統
- 海洋プラント
- 燃料油・潤滑油配管
- コンプレッサー接続
- オフショア設備
- 冷却水・海水系統
- 発電機周辺
- 振動・変位吸収配管
RH27の強味
- 耐炎構造
- DNV船級
- 高圧対応
- 負圧対応
- 高温でのインパルス耐久
- 小さな曲げ半径
- 油・燃料・冷却水などの流体横断性
などが挙げられます。
RH27の主な特長
- 接液部:PTFE(高い耐薬品性・耐温度性・非溶出性)
- 外装:SUS硬線ブレード(高耐圧構造)
- コルゲーション構造による極めて高い柔軟性
- 使用温度範囲:-54℃〜150℃
主な想定用途・設置箇所
- CDU周辺および冷却水循環装置と機器の接続
- ラック側冷却設備・ポンプ周辺の接続
- 冷却水・クーラント循環ライン
- メンテナンス時に取り外しが必要な配管
まとめ:液冷システムの信頼性を支えるホース選定を
AI・生成AIの普及に伴い、データセンターの冷却方式は「空冷から液冷」へ、そして液冷システム自体もより高密度・長寿命な設備へと進化しています。
それに伴い、冷却ホースについても「単に水を流せればいい」という選定から、「どのような素材で、冷却液の品質をどれだけ長期間安定して維持できるか」という視点が重要になっていきます。
コストや施工性を優先する場合はゴムホース。
冷却液への溶出防止や長期安定性を最優先する場合はPTFEホース。
システムの目的に応じた最適な選定をご検討ください。
データセンター向け冷却ホースのご相談は株式会社アルティベイトへ
株式会社アルティベイトでは、高度な流体管理やプラントの安定維持を求めるお客様に数多くのPTFE・PFAなどのフッ素樹脂ホース、フレキシブルホースを開発・設計・製造・納入してきた実績と知見があります。
- 冷却水用ホースを探していて、目的・用途に合わせてケーススタディをしたい
- GPU・CPUの液冷配管を検討しているがホース選定の方法や選択肢を知りたい
- 液冷却システムを導入したいが、冷却効率を長時間安定させたい
- 冷却液を変更した際の順応性や溶出・抽出物を考慮したホースを選定したい
上記のようなご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。用途や使用条件(温度・圧力・サイズなど)に合わせた最適なホースをご提案いたします。
